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人材採用は、企業にとって最も多額で最も重要な投資活動です。なぜなら、年間数百万円、トータルで数千万円にも及ぶ巨額の投資が必要であり、その成果次第で企業の生産性が大きく変動するからです。採用した人材が企業にもたらす効果は、巨大なプラスにも、大きなマイナスにもなり得ます。これほど重要なコストと投資対効果を持つ経営資源は他にあるでしょうか?だからこそ、人材採用は単なる経費ではなく、戦略的な投資として捉えるべきです。この投資を成功させることで、企業は大きなリターンを得ることができます。
人件費には、単純に考えられる役員報酬、賃金、通勤費、法定福利費(社会保険料等)だけでなく、生産性を考慮する際にはさらに多くの要素が含まれます。例えば、求人広告費、採用費、研修費用、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)などの教育コスト、さらには手直しコストやクレーム対応コストも含まれます。
生産性の計算式は以下のように表されます
生産性=出来高÷総額コスト
これを労働生産性に置き換えると、次のようになります
労働生産性=サービス付加価値÷総額人件費
この場合の「総額人件費」には、前述の様々なコストが含まれます。労働生産性が低いということは、目に見えない教育コストや手直しコストが多く含まれていることが多いと言えます。労働生産性の問題は目に見えない部分が多くを占めていると言えます。
同じサービス業の同じ業種にでも、利益率に大きな差がつくことがありますが、その多くの要因の一つにこの総額人件費の増加による生産性の低下が存在しています。
具体的な例を挙げると、労働生産性の低い企業では以下のような現象が見られます
1.人材の定着率が低い
人が定着せず、場当たり的に求人活動を行う。
2.非体系的な教育
採用後、属人的に教育を行い、その習得度は教育を担当する上司に依存し、成長するかどうかが不確実。
3.ミスが多発
体系的な教育を行っていないため、ミスを起こし、その都度修正を行うことで、仕事を覚える。
4.再度の採用
ようやく一人前になったタイミングで社員が辞める。再び求人広告を行い、面接・採用を繰り返す。
5.教育の質の低下
教育担当の上司も、すぐに辞めると思い、教育の手を抜く。これがさらにミスを誘発し、手直しコストが膨らむ。
6.モチベーションの低下と離職
教育係の上司のモチベーションが下がり、離職する。結果、仕事の習熟者が減り、勤続年数の浅い社員ばかりとなり、一人一人の生産性が低下する。
このような負のループに陥ると、逆回転して正のループに戻すことがますます難しくなります。このため、企業は人件費を広く捉え、生産性向上のための投資を考慮する必要があります。
負のループに陥った企業が再び正のループに戻るためには、様々な手段を講じる必要があります。その中でも、組織開発は非常に効果的なアプローチの一つです。
組織開発の手法を取り入れることで、生産性向上のカギを握ることができます。経営者が一方的に問題解決を試みるだけでは、成功しないことが多いため、組織全体で協力し、問題に対処することが重要です。
組織開発とは、具体的には、モラールサーベイやエンゲージメント調査を通じて、組織全体の現状を把握し、その調査結果を基に、緊急の課題と長期的な問題を明確にしながら、それぞれに対する解決策を立ててていく手法です。詳しい内容については、またお知らせしていきたいと思います。企業が負のループから抜け出し、正のループへと転換することは大きなパワーが必要であり、その問題解決によって真の競争力を発揮することが可能となります。
この機会を利用して、総額人件費の観点から生産性向上について見直してみるのも良いかもしれません。
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