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良く生産性がいいとか、悪いとか、生産性という言葉を耳にします。サービスは目に見えないものであり、人の動きも目に見えないものです。どこでどのような価値を生み出しているかについてはバリューチェーンを始めとした様々な価値がありますが、その価値や生産性はどのように数字で表すことが出来るでしょうか?今回はそのような生産性に関する数字をご紹介したいと思います。
労働生産性とは何でしょうか?簡単な計算式は次のようになります。
労働生産性=生産量÷労働量
つまり労働した量(例えば1人1日あたり)に対してどれだけ生産しているか?
1人一日当たりどれだけ生産しているかということですが、労働の生産性を測る場合は生産されたものは付加価値に置き換えます。言い換えると従業員1人1日いくら付加価値を生み出しているか?となります。当然付加価値額が大きいほど労働生産性は高いということになります。
次に付加価値とは何でしょうか?
簡単に言いますと、サービスによって生み出された、または付け加えられた価値のことです。
料理の付加価値を考えてみます。料理には水道光熱費と原材料費がかかります。水道光熱費が1品当たり100円、原材料費が300円だとして、それを料理人が料理することによって1000円で提供しました。この場合の付加価値は
1000円-100円-300円=600円
料理の代金1000円から水道光熱費と原材料費を差し引いた600円の付加価値を料理というサービスによって生み出した(付け加えた)ということになります。
このようにして求められる企業全体の付加価値額を従業員数や時間で割ることによって、
以下の生産性が求められます。
・1人当たりの付加価値額 → 労働生産性
・1人1時間あたりの付加価値額 → 人時生産性
また生み出された付加価値額のうち人件費が占める割合を労働分配率と言います。
・人件費÷付加価値額 → 労働分配率
労働分配率は、総額人件費予算や賞与の予算を決める際に使われることが多い指標です。
「今年は売り上げが上がって、付加価値額も〇〇円上がった。なので上がった付加価値額のうち、労働分配率が60%だからその分を賞与の予算としてプラスしよう!」という感じで利用します。売上だけでなく、付加価値額やその生産性、分配率を把握することは、人件費予算の策定や企業のサービス質を定量的に評価するための重要な視点です。
教育が進んだから生産性が上がった、従業員の熟練度が上がった、業務の見直しがうまくいったなどの意見はよく聞かれます。生産性の効果測定は決算書の数値から行うことができるので、一度検証してみることをお勧めします。同業他社の平均や好調な企業の指標と比較することも有効です。
またその効果測定とは別にビジネスの再設計にも活用されることがあります。
ここでその実例をご紹介したいと思いますので、サービスの見直しの際にお役に立てればと思います。
理髪業界で、省力化と効率化を行い、人時生産性を最大化して成功しました。
1. カット時間の短縮
QBハウスは、標準的な理髪店よりも短い時間でカットを完了することを目指し、一人当たりのカット時間を10分に設定しています。これにより、1時間で6人の顧客にサービスを提供できるため、人時生産性が大幅に向上します。
2. 店舗運営の効率化
店舗の設計も効率化に寄与しています。シンプルなレイアウトと設備により、無駄な動きを最小限に抑えています。例えば、カット専用のブースと必要な機材をコンパクトに配置し、スタイリストが効率的に作業できる環境を整えています。
3. オペレーションの標準化
すべての店舗で同じプロセスを採用することで、スタイリストの作業を標準化し、品質と効率を維持しています。これにより、新しいスタッフのトレーニングも迅速に行えるため、労働生産性の向上につながっています。
4. 予約不要システム
QBハウスは予約不要のシステムを採用しており、顧客の流れをスムーズにしています。これにより、スタイリストが待機時間を減らし、常に作業に集中できる環境を作り出しています。
※これは極端な例ですが、現在、多くの企業で無駄な業務プロセスの見直しと標準化が進められています。この取り組みで労働時間の短縮や収益の最大化が期待されています。デジタルツールの活用や業務の専門化、フレキシブルな労働環境の整備などの取り組みにより、生産性の向上が実現されています。今後も、技術革新や働き方改革を背景に、これらの取り組みはさらに進展し、企業の持続可能な成長に貢献することが期待されています。
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