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2024年7月22日持続可能な成長のための賞与予算設定!スキャンロンプランとラッカープランの活用法

払いすぎ?中小企業を悩ます賞与予算は適正か問題

賞与については、多くの企業が様々な問題や疑問を抱えています。
例えば、
「数人だけ賞与を支払わなくてもよいか?」
「パートや契約社員には賞与は支払わなくてもいいですか?」
「通常賞与は給与の〇ヶ月分が妥当でしょうか?」
「そもそも賞与はなくてもいいですか?」
「今年は業績不振のため賞与を支払わなくてもいいですか?」
昨今の同一労働同一賃金や就業規則、労働契約によって、その答えはケースバイケースです。私どもも、こういった質問には個別にお答えしています。

一方で、「今年は売り上げが順調なので、賞与を出したいがいくら出せますか?」とか「業績不振なので、賞与を減額若しくは出せないのですが・・・」という質問もよくあります。では、賞与の総額はいくらに設定すべきなのでしょうか?

通常、基本給の〇ヶ月分、業界平均、昨年比〇%アップなどが基準として用いられますが、企業の事業運営において適正な賞与の総額をどのように決定すればよいのでしょうか?今回は、賞与の支払い総額が適正かどうかを判断するための2つの方法をご紹介します。

スキャンロンプランとは

スキャンロンプランは、アメリカの労働組合幹部ジョセフ・スキャンロンによって提唱された賃金体系です。このプランは、企業の売上高に基づいて賞与を決定します。

計算方法

スキャンロンプランでの賞与原資の計算式は以下の通りです

賞与原資 = (売上高 × 標準人件費率) - 既に支払った賃金

標準人件費率とは、過去の売上高に対する人件費の比率を示します。昨年度の決算書から算出し、この比率を基に賃金を計算します。
この計算式によって、売上高の増減に直接連動した賞与が決定されます。

メリット

・売上高が上がるほど賃金が増えるため、従業員の努力が報われやすく、モチベーションが向上します。
・成果に伴わない過剰な賃金支払いを防止できます。
・賃金体系が明確化され、上司の主観による評価が減少します。

デメリット

・成果主義的な賃金体系への抵抗感がある従業員のモチベーションが低下する可能性があります。
・売上高に注目するため、経費削減の意識が低下する可能性があります。
・売上高が増えても人件費が増大することで、利益が伸び悩む可能性があります。

ラッカープランとは

ラッカープランは、アメリカの経営コンサルタントアレン・W・ラッカーによって提唱された賃金体系です。このプランでは、企業が生み出す「付加価値額」を基準にして賞与を決定します。
付加価値額とは、売上高から経費を差し引いた利益部分を指します。

計算方法

ラッカープランでの賞与原資の計算式は以下の通りです

賞与原資 = (付加価値 × 標準労働分配率) - 既に支払った賃金

標準労働分配率とは、付加価値のうち人件費として従業員に支払われる割合を示します。
過去の決算書から労働分配率を算出し、この比率を基に賞与を決定します。
付加価値の増減が直接的に賃金総額に反映されるため、企業の実績に応じた賞与が支払われます。

メリット

・企業の収益状況に応じた賃金支払いが可能になり、業績と人件費のバランスが取りやすくなります。
・企業の利益に対する意識が高まり、コスト管理や生産性向上への意識が向上します。
・従業員が企業全体の業績に対する責任感を持ちやすくなります。

デメリット

・付加価値を算出するためには、詳細な経理データが必要となります。経理体制が整っていない企業には負担が大きくなります。
・経費管理が適切に行われないと、正確な付加価値が算出できず、従業員の賞与が減少することがあります。

賞与予算の設定は大きな課題

ラッカープランは経費も加味するため、適正な賞与額を設定しやすいメリットがありますが、そのためには詳細な経費データの管理が必要で、負担が大きくなることがあります。
一方、スキャンロンプランはシンプルでわかりやすい反面、売上偏重の問題が生じやすいです。
どちらのプランを採用するか、またどのような数値を設定して活用するかは、企業の経営方針や実情に応じて慎重に判断することが重要です。
適切な賞与体系及び予算の導入は、企業の成長と従業員のモチベーション向上に大きく寄与しますから慎重な対応が必要です。

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