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企業が成功するための組織構造として、イエスマンばかりの社員がいる組織と、個人商店の事業主のように独立心旺盛な社員が集まる組織、どちらが機能するでしょうか?
イエスマンばかりだと、社長のリーダーシップによって会社がすんなりと動きます。一見問題ないように見えますが、間違えたときに歯止めが利かないような気がします。
逆に社員があたかも事業主のようにそれぞれが勝手に動く組織はまとまりはありませんが、臨機応変にいろいろなことに対応できそうな気がします。
答えは一概には言えませんが、極端なケースを考えることで、組織運営におけるバランスの重要性が浮き彫りになります。どちらも一長一短があり、適切なバランスを取ることが求められます。
適切なバランスを考えるうえでローレンスとローシュが提唱した「分化と統合」の理論をご紹介します。
分化は、組織が成長するにつれて部門や役割が細分化し、それぞれが独自の目標や働き方を持つことです。多様性と専門性が高まりますが、連携が難しくなることがあります。
成功する組織には、個々の自律性(分化)と全体の一体感(統合)のバランスが必要です。
組織が成長する過程で分化が進み、異なる部門が異なる目標や価値観を持つようになります。
しかし、分化が進むと組織全体の一体感が失われるリスクがあるため、統合が必要となり、共通の目標や価値観で社員を結びつけることが求められます。
イエスマンばかりの組織は、分化が低く、統合が強いと言えます。
逆に、個人事業主のような社員ばかりの組織は、分化が強く、統合が弱いと言えます。
つまり、分化(それぞれの個性の発揮)と統合(まとまる力)両方が強い組織が良い組織とされています。
現代の市場は多様化し、不確実性が高まっています。このような環境では、分化と統合のバランスをうまく取ることが重要です。
不確実性が高い場合、分化が進み、社員が個々に対応する力が求められます。しかし、分化が進むと組織全体の一体感が失われるリスクが高まります。そこで、強い統合が必要となります。
実際、私の経験上、市場や環境の不確実性から、業務の属人化やイレギュラー対応が進み、組織の一体感やバランスを崩しているケースが多くなった印象があります。
こういった場合、統合を進めることで、組織全体の結束力が高まり、共通の目標に向かって効率的に動くことが可能となります。
企業はこのバランスを取ることで、柔軟かつ強固な組織を構築することができます。不確実な時代には特に、分化が進むため、強い統合が求められるのです。
現代の企業が柔軟かつ効果的に運営するためには、分化と統合が重要な概念です。そして、これを実現するためには、経営理念や人事ポリシーが不可欠です。
多様な価値観を持つ社員が、それぞれの意見を尊重しながらも、共通の目標に向かって協力することが求められます。
具体的には、社員一人ひとりが個性を発揮し、現場で強みを生かしながら不確実な市場や事象に対応する一方で、その行動原理や発想は経営理念や人事ポリシーといった価値観で統合されていることが重要です。
不確実性の高い環境下では、分化と統合の両方を高い水準で進めることが求められます。
だからこそ、経営理念やミッション・人事ポリシーを社員に浸透させることがカギとなります。
この統合の力を発揮するには、経営理念はもちろんのこと評価制度や賃金設計など、組織などのトータルな人事制度を見つめなおすことが必要です。
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