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2024年7月3日人材流出を防ぐ秘訣(レモンの原理で見える人材定着の盲点)

レモンの原理が解き明かす人材定着の心理学

「何を頑張ったらいくら給料が上がりますか?どういう人が会社から評価されますか?どういうプロセスで昇進、報酬が上がりますか?」これらの問いに答えられる会社は、優秀な人材を引き留める力が強いのです。しかし、意外にもこれらの情報は社員に十分に伝わっていないことが多いのです。

ここで役立つのが経済学のレモンの原理です。レモンの原理(The Market for Lemons)は、経済学者ジョージ・アカロフによって提唱された概念で、情報の非対称性が市場にどのような影響を与えるかを説明するもので、逆選択やモラルハザードといった問題を生むことを合理的に証明した理論です。

レモンの原理の説明

レモンの原理を簡単に説明すると、次のようになります。
中古車市場で、半分はレモン(50万円の販売価値)という車と、もう半分はピーチ(100万円の販売価値)という車の2つの種類しかないとします。
売り手(中古車ショップ)はどの車がピーチでどの車がレモンかについて詳しく知っていますが、買い手(消費者)はその情報を持っていないとします。
つまりレモンとピーチの情報について知っている中古車ショップ側と知らない顧客側が存在します。これを情報の非対称性といいます。
知らない顧客側は平均値の75万円しか払いたくありません。
そうなると中古車ショップ側は75万円の売価で利益のでるレモンしかショップに置きません。
結果として高品質な車(ピーチ)が市場から退出し、低品質な車(レモン)が市場に残る現象が生じます。
これをレモンの原理といいます。
この現象を一般的に悪貨は良貨を駆逐するともいわれています。
情報が非対称性のままであると、いいものはいなくなってしまうということを、このレモンの原理は証明しています。

レモンの原理を労務管理に応用する

これを採用活動に置き換えてみます。
企業が新しい人材を採用する際、候補者の真の能力や適性は採用前には完全には分かりません。このため、企業はリスクを避けるために一般的な条件や待遇を提供しがちです。
大学卒業はいくら・・・? 経験者はいくら・・・?という具合に一般的条件で給与を定めます。
しかしこの状況が続くとレモンの原理によるとピーチは市場から退場してしまいます。
つまり、画一的で適切な評価や報酬を与えられない場合、優秀な社員が他の企業に転職、優秀な人材が流出し、低パフォーマンスの社員が残る結果となってしまうということです。

透明で公正な人材管理の重要性

レモンの原理の影響を軽減するためには、社員の能力や業績を適切に評価するための透明な制度を導入し、情報の非対称性を減少させる必要があります。評価制度や賃金体系、人事考課は経済学上も合理的な生産性向上策だといえます。またキャリアパスを明確化して、長期的な目標を持つことが出来るようにすることも、重要な要素となります。

情報の格差が生むリスクを理解し、それに対応することで、優秀な社員が他社に移るのを防ぎ、会社全体の生産性を高めることができます。レモンの原理を理解して、透明で公正な人材管理を行うことが、企業の長期的な成長と成功につながります。

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