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2025年2月6日人事考課の導入における組織論の原則

組織づくりの5原則

人事考課は、単なる評価制度の設計にとどまらず、組織の構造そのものをデザインする行為です。誰が誰を評価するのかを決めることは、組織の指揮系統や役割分担を定義することにほかなりません。
そのため、人事考課の設計は組織の再構築にもつながり、組織の基本原則を踏まえて行うことが不可欠です。ここでは、組織を設計する際に考慮すべき5つの基本原則を紹介します。
これらの原則を満たすことで、合理的かつ効率的な人事考課制度を構築できることと思います。

1.専門化の原則

組織の分業化を意味します。各部門が特定の業務に特化することで、知識・能力の集中が可能となり、業務の効率化とノウハウの蓄積が促進されます。
人事考課においても、専門分野ごとに適切な評価項目を設定する必要があります。どの程度細分化すべきかを検討し、専門性に応じた評価基準を策定することが重要です。

2.権限責任一致の原則

各メンバーに与えられる権限は、その職務に見合ったものでなければならず、同時にその権限に見合った責任を負う必要があります。組織全体としては、権限と責任の総和は等しくなりますが、個々の部門や役職で不均衡が生じると、非効率な組織運営につながります。人事考課の設計においては、各役職や部門の権限と責任が適切に整合しているかを確認することが求められます。

3.統制範囲の原則

別名「スパン・オブ・コントロール」とも呼ばれるこの原則は、管理職が直接指導・評価できる部下の数には限界があることを意味します。管理職が担当する部下の人数が多すぎると、評価の精度が低下し、管理が形骸化する恐れがあります。そのため、評価者と被評価者のバランスを適切に保つことが重要です。適正な管理範囲を設定し、評価の公平性を確保することが、運用の成功につながります。

4.命令統一性の原則

組織内の指示・命令は、特定の上司から一貫して受けることが望ましいとされます。複数の上司から異なる指示を受けると、混乱や責任の曖昧化が生じる可能性があります。特に職能別組織やマトリクス組織では、上司が複数存在する場合がありますが、その場合でも命令系統の明確化を図り、指揮命令の統一性を確保することが不可欠です。

5.権限委譲の原則

経営者や上層部は、日常的・反復的な業務を部下に委譲し、例外的な業務や戦略的な意思決定に集中すべきとされています。これは「例外の原則」とも呼ばれ、組織の効率的な運営に欠かせません。人事考課制度においても、管理職が細かい業務評価に追われることなく、重要な意思決定に時間を割けるような設計が求められます。自律的な社員を育成し、フラットな組織運営を実現することが理想です。

まとめ

人事考課は単なる評価制度ではなく、組織の在り方そのものを決定づけるものです。そのため、上記の5つの組織原則を押さえた上で、適切な考課制度を設計することが重要です。専門化による効率化、権限と責任の適正配分、管理範囲の適正化、命令系統の明確化、そして権限委譲による経営のスリム化を意識することで、組織全体のパフォーマンスを向上させることが可能になります。

人事考課の導入は、単なる評価制度の設定ではなく、組織そのものの最適化のプロセスでもあります。自社の現状を見直し、これらの原則を踏まえた設計を行うことで、より効果的な人事制度を構築していきましょう。

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