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2024年7月3日評価制度の落とし穴(企業のバランスを揺るがすもの)

人事考課のリスクとチャンス

人事考課制度は、会社の核となる部分です。この制度がうまく機能すれば、会社の成長を大きく後押しすることができます。しかし、人が人を評価する過程には、根本的な限界が存在します。特に、売上のような明確な指標が存在しないサービス業などでは、評価が困難になることがあります。
企業の経営には多様なシステムが存在し、それぞれが組織の機能に必要な役割を果たしています。営業、販売、総務、経理、情報管理といった領域は、適切に管理されることで予測可能な成果をもたらすことが多いです。これらは比較的管理しやすいと言えるでしょう。
しかし、人事システム、特に評価制度に関しては、少しのミスが大きな波紋を広げることがあります。不適切な評価制度は、従業員のモチベーションの低下や離職率の増加を引き起こすリスクがあり、場合によっては「導入しなければよかった」と後悔するほどの影響を及ぼすこともあります。一方で、適切に機能する評価制度は、劇的な業績向上を実現する可能性も秘めています。
人事考課制度の構築には多額の投資と労力が必要ですが、その効果は必ずしも投入した資源に比例するわけではありません。これは経営者にとって絶え間なく頭を悩ます重要な課題であり、必要不可欠ながらも明確な答えが見つからない、永遠の悩みと言えるでしょう。

評価制度の失敗がもたらすもの(不公平な評価が生む組織のゆがみ)

評価制度は、社員の努力を認め、適切に報酬を配分するために導入されます。理論的には、サービスの向上や生産性の増加によって利益が増え、その分の人件費の増加も正当化されるはずです。しかし現実には、「評価が上がったのに利益が伴わない」という問題が頻繁に発生します。これにはいくつかの理由がありますが、主な原因の一つが考課誤差です。
考課誤差とは、評価者の偏見や不公平な評価が影響することで、実際の業績とは異なる人事評価がなされる現象です。例えば、厳しい評価基準を持つ管理者Aと、寛大な評価基準を持つ管理者Bがいる場合、同じ成果を出しても部署によって評価が大きく異なることがあります。結果として、Aの部署では給与が下がり、従業員のモチベーションも低下します。一方でBの部署では、実際の成果に比べて評価が高くなり、人件費が無駄に高騰することもあります。
このような不均衡は、組織全体に不公平感をもたらし、従業員間の不満や競争を助長します。厳しすぎる評価をする管理者は、自分がプレイヤーとして優れていた経験から、他の従業員に対しても厳しい基準を設けがちです。一方で、仕事を十分に把握していない管理者は、反論を避けるために甘い評価を下しやすいです。
この問題を解決するためには、まず考課誤差を理解し、管理者教育を徹底する必要があります。

考課誤差とは何か?評価の正確性を損なう原因を解明

考課誤差を理解し、それを防ぐための管理者教育は、効果的な人事考課制度を運用する上で極めて重要です。評価者が持つ偏見や誤解が評価プロセスにどのように影響を与えるかを知ることは、全従業員に対して公平で一貫した評価を保証するための第一歩です。
代表的な考課誤差についてご紹介します。評価制度が整っていない環境でも、人を評価する際にこれらの誤差を理解しておくことは非常に重要です。認識しておくことで、これらの誤差を未然に防ぎ、より公正で正確な評価を行う助けになりますので、ぜひ参考にしてください。

ハロー考課

ソーンダイクにより命名されたもの。
被考課者の全体的な印象によって、その人の個々の特性評価が影響を受けることである。
ある一部についての印象がその人の全般的な印象をつくりあげること
考課者が尊重している特性について、被考課者のそれが優れている(劣っている)と他の特性も優れている(劣っている)と評価する傾向がある場合をいう。
例:山田君は前職で経験があるから、きっとできているだろう・・・

寛大化傾向

考課者が、被考課者の実際の成績よりもつねに甘く(高く)評価する傾向。
部下に対して厳しい態度に出ることにためらいがあること
部下の成績を他の部門の従業員よりよりよくしようという気持ちが働くこと
自分の考課に自信がないこと、考課基準が曖昧であること

中央化傾向

評価結果が中央地付近に集中し、あまり差が出てこない傾向をいう。
人間の優劣について厳格な評定を避けようとすること
考課者が被考課者をよく知らないこと
考課項目・方法がよくわかっていないし、説明できないこと

論理誤差

客観性はないのだが、考課者の頭のなかでは論理的に関係があると思い込んでしまう考課要素間に現れる傾向をいう。
たとえば、社交性と交渉力とは必ずしも関連があるといえないのに、考課者が密接に関係があると考えてしまうと、社交性があると交渉力も優れていると評価してしまうことになる。

自己類似性傾向(対比誤差)

評価者がなんらかの面で自分と似ている部下を高く評価することをいう。
たとえば、同じ学閥、同郷であるなどの類似点で、特定の部下を高く評価することである。
明らかにこの傾向性は、情実やえこひいきなどととらえられるので注意を要する。

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